3.11福島原発事故−4周年の取組


2015年 3月11日 3.11/4周年の取組(原発ゼロをめざす城陽の会)         日時:3月11日(水)14:00〜           場所:イズミヤ大久保店前(城陽市平川室木85番地)         当日の写真等は「活動の記録」のページにあります。


代表挨拶 竹本修三


 福島第一原発の重大事故から今日でちょうど4年が経ちました。この事故で故郷を追われた人々が京都にも沢山避難して来ておられます。また、福島に残った人達も、いまだに納まらない汚染水問題などで、不安な生活を強いられています。さらに、事故の原因究明もほとんど進んでいないのです。こんな何も収束していないで過ぎた4年間を振り返って、今日という節目に改めて原発稼働の危険性を訴え、全ての原発を廃炉に追い込むために、決意を新たにしたいと考えます。

 皆さんご存じのように、今年2月12日、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、鹿児島県の川内原発1, 2号機と福井県関西電力高浜3, 4号機が新規制基準に基づく審査に合格したと発表しました。これによって原発再稼働をめざす国や関電の動きは勢いづくと思います。しかし、ちょっと待ってください。あとで申しあげますように、原発から出る高レベル放射能廃棄物の処分については、具体的に何もまだ決まっていないのです。まさに「トイレなきマンション」ですね。これをそのままにしておいて、原発再稼働は絶対に許すことはできません。

 一つ注意していただきたいのは、「原子力規制委員会」は、実質的に「原発推進委員会」なのです。原子力規制委員会の新規制基準には「原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのもの」であって、「絶対的な安全性を確保するものではない」と書かれています。つまり原子力規制委員会は、「安全審査」ではなく、「適合性審査」を行うところなのですね。

 規制委員会の田中委員長は、石油や石炭などの化石燃料の乏しいわが国において、今の経済活動を維持・発展させていくためには、基本的に原発に頼らざるをえない。そのために、一日も早く再稼働を認めたいと考えているようです。そこで、「原発に絶対安全なんて、あり得ないのだから、地元の人は、安全神話から早く卒業しなさい」などという発言もしています。でも、国民のなかには、原発稼働への不安も大きいので、電力会社には原発事故へのそれなりの安全対策に努力していますというポーズを国民に見せてもらわんと困るという委員長の意図が透けて見えます。原発稼働に「絶対安全」なんてありえません。それを求めるなら、全ての原発を直ちに止めなければなりません。そうなると原子力規制委員会も必要なくなるかも知れませんが、それは困るということです。

 かといって、「安全審査」を厳格に行えば、電力会社はそれに対応できないことは明らかです。例えば、800ガルまで耐えられるように設計されていた装置を1000ガルまで耐えられるようにしろという指示なら、電力会社も対応できます。しかし、国内で観測された地震加速度の最大値は4000ガルを超えているから、そこまで対応しなさいと言ったら電力会社はお手上げです。ですから、規制委員会は、電力会社が対応可能な範囲を見極めたうえで、個々の電力会社にはこの原発についてはこの程度の対応をするようにという指示を与え、その対応を見たうえで、「求めるレベルの安全性は満足した」という審査書を出すことになるのです。こんな慣れ合いの茶番劇を許していては、無辜の国民は救われません。

 田中委員長をはじめ、委員会メンバーは旧原子力ムラで活躍した人も多いです。このムラ社会の人達が牛耳っている「原子力規制委員会」は、実は「原発推進委員会」なのだということを憶えておいてください。けしからん話だと思います。

 今回の原子力規制委員会の決定は、2014年5月21日に福井地裁の大飯原発差止訴訟で原告側勝利の判決を言い渡した樋口英明裁判長の判決文と180°違う方向を向いています。樋口裁判長は、「地震大国日本において、基準地震動を超える地震が大飯原発に到来しないというのは根拠のない楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる」と述べています。

 その後、2014年11月27日に大津地裁の「大飯原発3, 4号機、高浜原発3, 4号機の再稼働差し止め仮処分申し立て」では、山本義彦裁判長が申し立てを却下しました。しかし、その決定内容には基準地震動の策定方法に関して関電から何ら説明がないことや住民の避難計画が進んでいないことも述べていて、裁判長が原発稼働に強い危惧を抱いていることが読みとれます。そのうえで、こんな危険な状態なのだからこの現状で原子力規制委員会がいたずらに早急に、再稼働を容認するとは到底考えにくいという理由から、申し立てを却下したのです。この判決に対して、私は新聞社からコメントを求められ、「原子力規制委員会が早急に再稼働を容認するとは考えられないという裁判長の判断は楽観的すぎる」と述べました。今回の原子力規制委員会の対応をみますと、まさに私が指摘した通りの結果でありました。

 これらの司法判断に対して、今回の原子力規制委員会の見解は、千年や万年に一度起る地震・津波・火山災害を恐れて、原発稼働を認めないのはもったいない話であるというものです。

 昨年の福井地裁の判決文には、普通の人が普通の生活をする権利、つまり生存を基礎とする「人格権」こそが、すべての法分野において、最高の価値を持つものであり、それを脅かすものは、排除しなければならないということが述べられています。原発を稼働させないと化石燃料等の輸入が増えるから、国民の負担増になるという意見に対しては、「コストの問題に関して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることこそが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」と、極めて人間性豊かな判決文になっています。

 それに対して、今年2月の原子力規制委員会の再稼働承認は、まったく逆を向いた判断であり、国民の暮らしと命を守るという基盤に立ったものではなく、当面の経済活動の効率性を考えた近視眼的な判断に基づくもので、容認することができません。

 さらに、もう1つ重要なことは、原発が出す高レベル放射性廃棄物の処分問題は、未だに何にも決まっていないことです。最近、これに危機感を抱いた日本学術会議が新たな提言を出していますが、高レベル放射性廃棄物の処分のあり方に関する合意形成がなぜ困難なのかを分析し、合意形成への道を探ることがまず大事で、次に、科学的知見を生かすことは大切であるが、同時にその限界も自覚しなければならないと述べられています。

 東日本大震災では、科学的知見の想定を超える自然災害が起こり得ることが改めて示されました。さらに、 国際的視点を持つと同時に、日本固有の条件を勘案して高レベル放射性廃棄物の処分問題考えなければならない、と述べています。そして、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物の処分について、深い地層に埋める現行の政策を「いったん白紙に戻すくらいの覚悟を持って見直すことが必要」とする提言をまとめました。高レベル放射性廃棄物の「総量管理」と「暫定保管」を柱にして、原子力政策を再構築することを求めています。

 要するに、高レベル放射性廃棄物の処分問題は何も決まっておらず、これから考えていかなければならないということです。現状の原子力発電は、まさに「トイレなきマンション」ですね。このように将来の道筋が何も決まっていないのに、放射性廃棄物の最終処分地をおたくで引き受けてくれと言われても「うん」という自治体がないのは当然です。皆さん、「城陽でこれを引き受けてくれませんか?」と聞かれたら「うん」と言いますか?私はいやです。「国会議事堂の真下を放射性廃棄物の処分地にしても大丈夫だよ」、というところまで目途が立った段階に達したら、考えないでもありませんが、現状では「城陽が放射性廃棄物の最終処分地になってくれ」と言われたら絶対に反対します。

 原発を動かす限り、高レベルの放射能廃棄物が貯まり続ける訳ですが、その処分の目途が立っていないのに、再稼働を認めれば、高レベル放射能廃棄物をますます増やすことになり、後世の世代に大きな負債を背負わせることになります。この一点だけで考えても原発再稼働はアウトです。「今さえよければあとはどうなってもいい。ケセラセラだ」という安倍首相の態度は、あまりに無責任だ、と皆さん思われませんか? 私は許せません

 子や孫の世代が安心して暮らせるように、原発再稼働を絶対に阻止しましょう。そして全ての原発を廃炉に追い込みましょう。以上で私の挨拶を終わります。


宣伝アピール:福島原発事故4年


止まらない汚染水流出 再稼働とんでもない


 東日本大震災、東京電力・福島第1原発事故から4年。福島県は1月現在、11万8862人の人々が県内外で避難生活を送っていると発表しました。最も多かった2012年に比べ4万5千余人の減少と報道されていますが、避難生活を送られている方々は、城陽市・久御山町・宇治田原町・井手町の1市3町の合計人口を上まわっています。事故の原因究明もすすまず、汚染水の垂れ流しを放置、高濃度汚染水処理も約束の「年度内、全量処理」を東電は断念するなど、「完全にコントロールされている」とは全く言えない状態です。 最近も高濃度汚染水が外海に流出していたにもかかわらず、東電は1年以上も隠し続け、対策を取らなかったことが明らかになりました。

政府・東電は、福島事故の被災者支援に全力をつくせ

 東電は、原発被災者に対する損害賠償の打ち切りの動きさえ進めようとしています。今 安倍政権に求められているのは、原発の再稼働ではなく、政府の責任で福島事故の収束と被災者支援に全力で取り組むことではないでしょうか。

京都府は「同意権」のある「安全協定」を結べ

 みなさん、京都府と関西電力は、2月27日、高浜原発3,4号機の再稼働の「地ならし」ともいえる「安全協定」を結びました。協定には、立地県(福井県)のように、事前に自治体の了解を必要とする「同意権」が含まれていません。 高浜原発の30キロ圏は京都府内7市町、12万8千人に及びます。しかも、舞鶴市は全国で唯一立地自治体以外で5キロ圏内にあり、事故が起これば直ちに避難が必要な区域(PAZ)に入ります。京都府も福井県と同じ立地自治体ではないでしょうか。ひとたび事故が起きれば被害は府県を越えて広がります。
 京都府に対し「同意権」のない「安全協定」を「同意権」を含む実効性のある「安全協定」に改訂すること、京都府民の安全を守るために、府知事として「高浜原発再稼働に反対」の意志表示をすることを強く求めます。

京都府知事に再稼働反対を求める署名にご協力を

 原発ゼロをめざす京都ネットワークでは山田京都府知事に「関電高浜原子力発電所などすべての原発の再稼動に反対してください」と訴える署名を呼びかけています。私たちゼロの会・城陽でもこの呼びかけに応え、署名活動に取り組んでいます。みなさんのご協力をお願いします。
 一人ひとりの力を合わせて、原発のない安全・安心の社会をつくっていこうではありませんか。

(2015年3月11日   原発ゼロをめざす城陽の会)



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