大飯原発稼働停止、原発再稼働反対の城陽市議会決議を求める陳情


      2013年5月29日 城陽市議会議長   藤城 光雄 様                       原発ゼロをめざす城陽の会                            代表 竹本修三

1 陳情の趣旨
 城陽市議会において、大飯原発稼働停止、原発再稼働反対の趣旨に基づく決議を挙げていただくこと。

2 陳情の理由
●福島第一原発の事故は普通の人が普通に暮らす基本的人権を奪いました。
●福島第一原発だけが例外ではありません。地震国ニッポン設置されている原発は、みんな同じ危険をはらんでいます。
●ハイテクの粋を集めた原発ですが、それを扱うのは人間です。立っていられないほどの激しい地震動に襲われたときなど、人間は訓練時のように冷静に対応できず、操作ミスをしてしまうことは、福島第一の事故調報告を読んでも明らかかです。
●非常時に制御不能な複雑系の原発を稼働させることは危険きわまりなく、国内で唯一再稼働している大飯原発の発電を一日も早く停止させることが、子や孫の世代に負債を残さないために必要です。

(補足説明)
 城陽市議会は2011年9月29日に原発に関して全会一致の決議を挙げられました。原発の制御ができない状況を踏まえ、再生可能エネルギーの利用に向けて動き出す時、政府や地方自治体が原子力に重きをおかないエネルギー政策への見直しを図るように求めるという趣旨の決議ですが、その後の状況は市議会決議の指摘が全く的を得ていたことを示しています。原発事故による被害状況、事故現場の深刻な状況、福井の原発群周辺の実態など、どれも原子力に重きをおかないエネルギー政策への見直しの必要性が明らかになってきたと言えます。
 福島原発事故から2年2か月が経過しましたが、今もふるさとに帰れず、以前の生活に戻れない方々が15万人余もいます。これから先も、多数の人々が元の生活に戻れる見込みがありません。何も悪いことをしていない普通の人が、ある日突然、原発事故のために普通の生活ができなくなるということは、人権侵害です。原発事故はその他の事故とは全く様相が違い、事故現場から50km、100kmと離れた場所でも、被害が出ています。原発事故は、その範囲においても、継続する時間においても他の事故とは全く異なり、地域社会そのものを崩壊させるものです。
 政府は福島原発事故の収束宣言を出したままで撤回していませんが、事故現場は「収束」とは程遠い状況です。事故を起こした原発による汚染水は、毎日400トン(小学校のプールの容量)ずつ増え続けています。東電は海洋投棄をしようとしていますが、福島から三陸海岸一帯の漁業に深刻な打撃を与えることが心配されます。
 ハイテクの粋を集めた原発ですが、技術を使いこなすのは人間です。福島原発事故後の東電の対応を見ていると、非常に心もとない印象を受けます。2012年2月には高濃度汚染水の処理に使うポリ塩化ビニール製ホースから水漏れが22件見つかりましたが、その原因はイネ科の雑草、チガヤがホースを突き破ったためだそうです。また、2012年3〜4月にはネズミの感電による原発冷却停止など、ハイテクとは縁遠いところで重大事故が何度も起きています。原発の事故現場は、初歩的な管理すら十分に行われていないと言わざるを得ません。また、最近でも高速増殖炉「もんじゅ」で「1万件の点検漏れ」が指摘され、運転再開準備の停止が命じられました。こんなずさんな担当者のもとで原発が扱われて来たかと思うと背筋が寒くなります。
 福島原発の事故のあと、関西電力は、停止中の大飯原発3、4号機の再稼働に向けて、経済産業省原子力安全・保安院(当時)が2012年3月末に示した30項目の安全対策などを独自に91項目に細分化し、対策を講じたとして、同年7月に再稼働に踏み切りました。その安全対策が十分かどうかにも疑問は残りますが、それより、「原発は安全である」という神話に騙されてきた我々は、大飯原発でも新たに点検しなければならない個所が30項目もあったということの方が問題です。今後も次々と出てくるのではないかと思います。新たに検討した対策については、マニュアルが整備されていて、緊急事態が発生したときにはどう対応したらよいかということが事細かに書かれているでしょうし、その訓練も積んでいると思います。しかし、非常時に即座に対応を判断しなければならないのは現場の人間です。立っていられないほどの激しい地震動に襲われたときなど、人間は訓練時のように冷静に対応できないことは、福島第一の事故調報告書を読んでも明らかかです。このような非常時に制御不能な複雑系の原発を稼働させることは、危険きわまりないことです。
 先日、敦賀原発の2号機が、「直下にあるのは活断層」と認定され、廃炉となる公算が大きくなっています。しかし、活断層が見つかっていないところでもM6〜7級の直下型地震は起きています。そういう危険があるので、日本で原発を稼働させてはいけないのです。地震だけではありません。自然災害の多い日本では、台風や竜巻で原発建屋が吹っ飛ぶこともあり得ます。また長雨で地盤が緩み、思いがけないところで地滑りや陥没が起こるかも知れません。津波にしても若狭湾の外から10m超の津波がくる可能性は低いとしても、大飯原発は狭い湾内にありますので、原発付近の直下型地震で湾岸の崖が崩壊し、大量の土砂が海に流れ込めば、局所的には10mを超える津波も否定できません。 原発は私たちの現在の技術水準では手に余る存在です。また、たとえ安全に稼働できたとしても、発生する放射性廃棄物の処理方法は、まだありません。原発の稼働でこれ以上、後の世代に負担を押し付けることは許されません。
 城陽市議会の2011年9月29日の脱原子力政策へ転換を求める決議の精神は今こそ重要になっています。城陽市議会が上記事項を踏まえ、市議会として「大飯原発稼働停止、原発再稼働反対」の決議を挙げていただくようお願いいたします。


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